緊縮財政と新型コロナ

まず、「緊縮派」「反緊縮派」というゼロイチ思考は悪い、と言っておきます。というのは、ちょっと考えたらわかることですが、政府のGDP比債務残高が0%(無借金)の状態で、「国債を発行してはいけない」と言う人はいないわけです。また、GDP比で400%まで行…

志村けんのパラドックス

みんな冷静に計算してほしいけど、東京都の新コロナ感染者数は現在171人。東京から無作為に200人をピックアップしたときに、その中に超有名人の志村けん氏が入ってる確率ってどのくらいだと思う? 現在の感染拡大ペースは我々の想像をはるかに超えてる…

1か月前のミラノ

1か月前のイタリアで、"#milanononsiferma" (ミラノは止まらない*1)という動画とタグが流行りました。 www.youtube.com「奇跡を起こそう、毎日」「なぜなら恐れないから」といったことが書いてあります。イタリア語が読めなくても雰囲気は伝わるとは思いま…

「対策か、経済か」ではない

新型コロナウイルスについて。「コロナ*1対策を取るか、それとも経済を取るか」という二項対立の図式をよく見るので、そうではない、という話。わかっている人はこれ以上読む必要はない。 まず、コロナ対策としては、次の3つの選択肢がある。1. 封じ込め 2. …

「韓国とイタリアは検査しすぎて医療崩壊した」とかいう狂気のデマ

ツイッターでこのミームがウィルスのように広まっているので書いておく。 まず、韓国。韓国が大変なことになったのは、ちょっとマシな人間なら誰でも把握している通り、「感染者が新天地という新興宗教の礼拝で広めたから」。31人目の確定診断者が感染させた…

「女のつらさ」と「イージーモード」——性的資源とコミットメントという観点から

男と女の釣り合い考──「女のつらさ」と「イージーモード」|琥珀色|noteこの記事に対する言及です。(無料のときに読みました)お金を払ってまで読みたくないという人向けに要約すると「パッとしない女の知り合いがいて、そいつはイケメンに憧れてたんだけ…

誰でもいい「からこそ」弱い相手を狙うという話

「『誰でもよかった』という犯罪者は実際には弱い相手を選んでいる」みたいなやつあるじゃないですか。 あれ、誰でもいい「からこそ」弱い相手を選ぶんですよ、という話です。 ちょっと想像してみましょう。 ある日、宇宙から電波が届いて、あなたに「何でも…

宇崎ちゃん問題についての派閥分け

この話題、いろんな論点が混乱していてひどいことになってますよね。ちょっと整理してみようと思います。以下の6点について。 法律について 環境型セクハラ 献血が増えたらいいのか 宇崎ちゃんについて 献血の場でのライン 国ごとの性表現規制 法律について …

はてなーはお願いだから自閉症についての理解を深めてくれ

この記事を読んだ。 【追記あり】僕は異常だ とにかくブコメがひどい。 「中二病だろ」の声一色*1だ。 例の記事を読んで、ぼくとしては「あー」という感じだった。 人間エミュレーションじゃん、と。 ぼくの人間関係には自閉傾向の人が多い。 ASDの診断を受…

ブラウザでマイク入力から字幕を作るツールを作った

Chrome でマイクからの音声を録音して、その音声認識で書き起こしも同時に行うツールをmizchi氏が作ったので、それにちょっと手を加えて、SRT形式の字幕データを作れるようにしました。https://recording-studio-srt.netlify.com/で使えます。 動機 私はいま…

ぼくはこうやって(8年前)Googleに入った

入って1年ちょっとで辞めたぼくだが、流れに乗って書いてみる。 正直なところ、ぼくが書く意味はないと思った。「どうやって」という話になると「入社試験を受けたら入れた」ということになるし、それはもう他の人が書いているからだ。 しかし、他の人の記事…

表現規制についての思考実験

あなたは「表現の自由はすべてに優先される、ゾーニングは必要ない」という考えの持ち主だろうか。そうであれば、「2 Girls 1 Cup」というビデオを検索して、それを最後まで見てほしい。(閲覧注意の動画なので、信念のある人以外にはお勧めしない) 「2 Gir…

ドヌーヴ「女性を口説く権利」誤訳指摘

(2018/01/12 15:44 追記)「カトリーヌ・ドヌーヴを含め100人の女性が主張したこと」というよりよい翻訳が出ていて、そちらにはここで指摘したような問題はありません。そちらを読むことをお勧めします。 ドヌーヴ「女性を口説く権利」 全訳ですが、ブコメ…

iOSの謎の単語と、それにまつわるデマ

(2018/01/15 追記) いつの間にか削除されていたようです。iOS 11.2.2で候補から消えていることを確認しました。iOSで「レイプ」と入力しようとすると、変な候補が出てきます。 レイプアールサァン?いったいこれは何でしょうか。 「レイプアールサァン」でGo…

青春→鯖鰆みたいなやつ

今日、こんなツイートを見かけました。 娘1のクラスの寄せ書き、「楽しかったよ」「また会おうね」が多い中、キラリとひかる名文発見。「青春って魚編をつけると鯖鰆(サバサワラ)って読めるよね。似たような熟語を見つけたら教えて」By 町田高史(仮名)彼…

適当に情報を消費する人たち(Amazon Dash Buttonについて)

Amazon Dash Buttonは何がヤバイのかという記事が最近バズっていましたね。 この記事の中で、「電池の寿命が1年」というのがキーのひとつになっているというところはいいですよね? また、1年ごとに電池が切れるのもえげつない。 1年で電池が切れるからこそ…

ドイツ語分割

ドイツ語分割スクリプトを作りました。デモはこちら。German Word Decomposer Demo上のテキストエリアに例えば"Rindfleischetikettierungsüberwachungsaufgabenübertragungsgesetz"と入れると、下のテキストエリアに"Rindfleisch-Etikettierungs-Überwachung…

ニューラルかな漢字変換の細かいツッコみどころ

ニューラルかな漢字変換という記事へのツッコミです。いや、ニューラル部分はいいんですよ。ぼくはやってないから。 ツッコみどころは、ごく細かいところです。注釈の、「かな漢字変換はN=3以上にしても精度が上がらないことが実験により確かめられています…

責任と対策の分離

通常の場合、何かの問題に責任のある人がいる場合、その人に何とかしてもらうのが筋です。それが原則です。ただ、責任のある人が多数である場合など、その人たちに何とかしてもらうことが難しい場合、発想を「責任」から「対策」に切り替える必要があります…

ちょまど氏をめぐる異常事態

最近、Xamarinという製品についての勉強会で炎上騒動がありました。初期の記事としては、以下のものがあります。 xamarinコミュニティの炎上について思うこと その後、主催者側や批判側からいろいろな記事が出て、泥沼の様相を呈していました。以下はその例…

機械翻訳は自動織機ではなくチェーンソーであるという話と、その帰結

先日、機械翻訳と意味という記事を書きましたが、それ以降も新Google翻訳の精度向上はあちこちで話題になっています*1。 新Google翻訳を使って3700ワードの技術文書を1時間で翻訳したGoogle翻訳の強化でもっとも得するのは翻訳家という妙 共通して述べられて…

機械翻訳と意味

ここ最近、Google翻訳がリニューアルされ、性能が向上したという話が流れてきたので、さっそく試してみた。ぼくが真っ先に試したのは、「母は、父が誕生日を忘れたので、怒っている。」だ。なぜこの文が気にかかっていたかは後述する。 結果は次の通り。 "My…

Wikipediaから人名(姓・名別、読みつき)を取り出す

小ネタです。日本語Wikipediaから人名(姓・名別、読みつき)を取り出すスクリプトを書きました。 https://github.com/hiroshi-manabe/extract_jawp_names 日本語の処理をする際に、Wikipediaのデータを使うことは多いと思います。いろいろと便利なWikipedia…

翻訳の退場勧告

SICPを訳し直したと、一年前の記事の善意のひどい訳についてに関して、はてな匿名ダイアリーのほうで言及していただきました。 翻訳は/誰がやっても/間違える (前編)翻訳は/誰がやっても/間違える (後編) 誤訳の指摘ありがとうございます。差し支え…

SICPの翻訳についての補足と和田訳について

最近、計算機プログラムの構造と解釈(通称SICP)を訳し直すということをやった。そのときに書いた記事にはだいぶ反響があった。ぼくとしても、いろいろ言われることは予想できていたので、ぼくの考えを「腐った翻訳に対する態度について」という別記事にま…

腐った翻訳に対する態度について

今回、SICPの翻訳改訂版を公開するにあたって、minghai氏の非公式日本語版(以下、minghai氏版)については「惨憺たる翻訳」「そびえ立つクソの山」などと書きました。これらの言葉は、もちろん本心からのものです。しかし、それを表に出すかどうかについて…

非公式PDF版SICP・新訳

計算機プログラムの構造と解釈、通称SICPを一から翻訳し直しました。 ファイル: SICP非公式日本語版 翻訳改訂版リポジトリ: https://github.com/hiroshi-manabe/sicp-pdf また、今回の翻訳をするにあたって考えたことを別記事にまとめました。 腐った翻訳に…

「許す」と「赦す」の件(みんな間違っている)

「シャルリー・エブド」誌の翻訳の問題がホットなようです。 銃撃の政治紙「すべては許される」と預言者風刺 「許す」と「赦す」 ―― 「シャルリー・エブド」誌が示す文化翻訳の問題 「許す」と「赦す」は同じ意味ですよ 私から見ると、みんな三者三様に間違っています…

なぜ誤訳指摘をしたか

善意のひどい訳についてについての補足を書く。 まず、「なぜ指摘を公開でやったのか」ということから。「アスペ日記」というタイトルで日記を書いてはいるけれど、「こんなふうに誤訳指摘したら気ぃ悪い(感じ悪い)*1よなぁ」ぐらいの感覚はぼくにもあった…

善意のひどい訳について

2014/10/14 追記: 補足記事を書きました。なぜ誤訳指摘をしたか ぼくは、ずっと昔から「ひどい翻訳」というものに憤りを感じてきた。以前、別の記事に書いたこともある。統計学を拓いた異才たちのようなひどい翻訳を見るたびに、どうして世の中からはこの手…