「韓国とイタリアは検査しすぎて医療崩壊した」とかいう狂気のデマ

ツイッターでこのミームがウィルスのように広まっているので書いておく。


まず、韓国。

韓国が大変なことになったのは、ちょっとマシな人間なら誰でも把握している通り、「感染者が新天地という新興宗教の礼拝で広めたから」。

31人目の確定診断者が感染させた人数はなんと1160人にものぼる。


ちょっと考えてみよう。

「もし韓国の惨状が検査のしすぎが原因だとしたら、適切な数に検査を抑えていたら状況はマシだったのか?」

その仮定のもとで、事態がどういう経過をたどったかを考えてみよう。


まず、31人目の確定診断者は、礼拝に参加して1160人に広める。

(検査とは関係ないので当たり前)

その後、その1160人からどんどん感染が広まっていく。

適切に検査を行っていれば、感染者を隔離するなどして、だんだん収束に近づいていく。


さて、それに対して現状はどうか。

検査をやりすぎたのかもしれないが、結果としてちゃんと収束に近づいている。


検査をやりすぎたことによって、余分な医療リソースの消費はあったかもしれないが、それによって爆発的に感染が広まっているとかいうことはない。

韓国の場合、31人目の確定診断者が礼拝に行った時点で、何をどうやってもその後のある程度の感染者の増加は運命づけられていた。


さて、イタリア。

イタリアは手がつけられないような大変なことになっているが、それも「検査のしすぎ」が原因ではない。

ちょっと時間を遡って、2/26時点での検査数・陽性率を見てみる。

(リンク先の下のほう)

Coronavirus Testing Criteria and Numbers by Country - Worldometer

この時点で、イタリアは9462件の検査を行い、陽性率は5.0%だ。

そもそも、「検査のしすぎ」という状況ではない。



じゃあ、イタリアはなぜ大変なのかというと、単純に「患者数が多くなりすぎたから」。

今はスペインがこの道をたどりつつある。


一応バカ向けに書いておくと、孫正義氏の思いつきのように「100万人にPCR検査を提供する」とか言うのは、それなりにうまく行っている現状を混乱させるだけの狂気の沙汰だ。

だからといって、逆方向の狂気のデマを広めてもいいということにもならない。

岩田健太郎氏という虎の威を借る形だが、一応釘を刺す意味で書く。

「みんなが不安だからという理由で検査をするのは間違い」だが、どこまで検査するかという意味では、「今の日本以上」が適切だというのが専門家の意見だということを忘れないでほしい。

toyokeizai.net