緊縮財政と新型コロナ
まず、「緊縮派」「反緊縮派」というゼロイチ思考は悪い、と言っておきます。
というのは、ちょっと考えたらわかることですが、政府のGDP比債務残高が0%(無借金)の状態で、「国債を発行してはいけない」と言う人はいないわけです。
また、GDP比で400%まで行っても大丈夫、と言う人もまあいないでしょう。
そう考えると、それぞれの論者にあるのは「ここまで(200%、250%…)なら国債を発行しても大丈夫」というラインであって、現状がそれを下回っていたら反緊縮派、それを上回っていたら緊縮派となるわけです。
あなたのラインは何%ですか?
私のラインは…
「経済学者じゃないのでわかりません」。
無知の知、大切ですよ。
言語と経済と教育は門外漢が適当なことを言う三大分野だと思っている(誰でも関わりがあるのでみんな一家言持っている)
— Hiroshi Manabe (@takeda25) 2014年4月25日
@takeda25 (i) みんな実体験から何かしら意識的に考えたことがある、(ii) 義務教育で体系的に習わない、という条件が揃った不運な分野というかんじですね。
— asaokitan (@asaokitan) 2014年4月26日
ちなみに、「自国通貨だからいくら借金してもデフォルトは起こさない」という意見に対して。
終戦前もGDP比で200%ぐらいの債務残高があったのですが、これは財産税とか、戦時補償請求権に対して100%課税するとかの無茶なことをやって、それからインフレで実質ほぼチャラになりました。
デフォルトしない要因は「自国通貨だから」というのもありますが、「自国民に対する債務だから」というのもあるでしょうね。
自国民に対する債務は、適当に形式を整えれば踏み倒せるということです。
(もちろん、踏み倒すと経済はめちゃくちゃにはなりますが、形式上デフォルトではありません)
で、新型コロナ対策ですが。
これは、「財政にかかわらずやるべき」です。
新型コロナというのは、そのまま放置すると都市のロックダウンに至ります。
「経済が大事だからロックダウンなんてするな」という威勢のいい考え方の人もいるかもしれませんが、いざ死体の山ができてみると、集団としての人間はそういう考えを貫き通すことはできません。
しかし、東京をロックダウンするとなると、当然、ものすごい経済損失が発生します。
そうなる前に、外国帰りの人や濃厚接触者を追跡し、自宅や宿泊施設で確実に待機させるといった対策を取って指数的増加を抑え込むことができたら、それは何十倍・何百倍にもなって返ってくる投資と言えるでしょう。
台湾や韓国がやっていることです。
ここでお金を惜しんではいけません。
これは、「確実に何倍にもなって返ってくる投資」だからです。
あなたに借金が1000万円ある(手持ちのお金はいくらかある)とします。
そこにドラえもんが来て、「この箱に10万円入れると100万円になって出てくるよ*1」と言います。
あなたは「いや、借金が1000万円あるから10万円なんて出せないよ」と言うでしょうか?
マイナスを減らすかプラスを増やすかという違いはありますが、同じことです。
マイナスとプラスを現実に合わせた書き方をすると、借金が900万円あるところに「10万円入れないと強制的に100万円取られる箱」を出されるようなもの、となります。
まあ、これはロックダウン以外の方法で指数的増加が抑えられるという状況での話でした。
もう遅いかもしれませんね。
指数関数的な増加のグラフが神風によって折れるシミュレーションやめろ
— 世界政府 (@n_en_u) 2020年3月29日
*1:一回しか使えないとします。