英語学習には「オーディオブック」がお勧め

受験英語の不幸で書いたようなことを踏まえたうえで、ぼくの個人的なお勧めの勉強方法は「児童書のオーディオブック」。

児童書のオーディオブックには、そこで挙げたようなポイントを押さえて勉強するのにいいところが揃っている。


まず、子供向けの本にはネイティブから見て難しい単語が少ない

低いレベルから始めるのにはちょうどいい。

(中には「ネイティブから見ると基本的な単語だけど、外国語学習者としてはいまいち使いどころがない」という単語もあるけれど)


次に、オーディオブックは「聞く」力を重点的につけられる

もちろん「話す」も重要だけど、これだけは相手がいないとどうにもならない。

独学でやるには、まずは「聞く」ことから始めるのがいいと思う。


さらに、オーディオブックは密度が高い

映画やドラマを見るという方法もあるし、そちらのほうが向いているという人も多いだろうけど、映像作品は「間」が多く、会話のパートが少ないことが多い。

それに比べると、オーディオブックは(当たり前だけど)しゃべりっぱなしなので、時間を 100% を活用できる。


最後に、オーディオブックはネイティブの子供たちが聞くことを前提に作られているので、本場の英語であることが保証されている

学校の教材だってそんなに本場の英語と違うことをやっているわけじゃないけれど、それでも不信感を持つ人は持ってしまう。

そんな疑いの余地がないというのがいいところ。


じゃあ、どのオーディオブックがいいのか。

ここは、思いっきり趣味に走って「世にも不幸な物語」をお勧めしたい。

この本のあらすじは、裕福な家の三人の子供たちが遊んでいたところ、家が火事になって両親が死んだというニュースを聞かされ、その後オラフ伯爵という悪人に引き取られて、財産を狙う伯爵から工夫を凝らして身を守るというもの。

こう書いてしまうとたわいもないストーリーだけど、言葉遊びや独特のユーモアに面白さがあるし、童心に返って聞けばストーリーも楽しめる。


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これは 1冊目で、シリーズ全体では 13冊もある。

うまくはまれば、長い間楽しみながら勉強ができる。

しかも、オーディオブックの朗読者はイギリスの俳優(作者自身が読んでいる巻もある)で、演技もうまいし発音もきれいだ。

オーディオブックは朗読者にものすごく左右されるので、うまい人が読んでいるというだけでも価値がある。


さて、児童書といえばハリーポッターが有名だけど、個人的にはあれは「魔法のほうきの価格表」みたいなものを(ストーリーのどの部分だったか忘れたしどうでもいいけど)見てから謎の吐き気を感じて、それ以来読む気がしない。

なんというか、あのシリーズにはまれる人とは一生合わない気がする。


まあ、それは置いといて。

定番のものといえば「Holes」がある。


Holes
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Louis Sachar
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これは読んだ人誰もが絶賛する本で、ストーリーが合わないということはなかなかないはず。

ただ、レビューにもあるけれど、オーディオブックの朗読が淡々としすぎている。

読む速度も速くて、あまり初心者向けじゃない。


ところで、児童書以外でもお勧めのオーディオブックがある。

日本でも有名になった「シーラという子」の原著、「One Child」。


One Child
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Torey L. Hayden
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(ぼくが買ったときは 12000円ぐらいしたのに、今見ると 6000円台だ)


虐待されて育ち、心を開こうとしない女の子と、彼女に忍耐強く向き合う教師の物語。

一時流行したので、日本語版を読んだ人もそれなりにいると思う。

また、このオーディオブックは朗読がものすごくいい。

一人で読んでるはずなのに、実際に 10人もいるような気分になる。

子供向けの本よりは少し(いや、かなり?)難しいけれど、発音はきれいなので、英語に自信のある人にはお勧め。


ところで、ぼくは前にも「時間のない人のための、本気の英語学習法」という記事を書いたことがある。

そこで書いた勉強法と、今回書いた方法は全然違う。

どちらも学習効率を最大化することを目的にしたものだけれど、前回の方法は時間あたりの効果を上げることを目指していて、今回のやり方は労力あたりの効果を高めることを主眼に置いている。


意志の強い人が短い時間で語学をやるなら、暗記や単語学習といった詰め込み式の方法がいいけれど、労力の割にはなかなか実力が伸びない(語学はもともとそんなにすぐ伸びるものではない)ので、あまり頑張りすぎると燃え尽きてしまう。

それに対して、オーディオブックを聞くというのは(内容とレベルが自分に合えば)楽しみながらできる。

苦しんで一時間勉強するのと、楽しんで四時間勉強するのでは、効果が同じだったとしても、どちらがいいとは言いにくい。

ぼく自身も、外国語を勉強するときは、その時々のやる気に応じて両方のアプローチを使い分けている。


ガリガリ勉強するのに疲れたらオーディオブックで一息ついて、オーディオブックで実力不足を感じたらまた猛勉強に戻る、というのがいいと思う。