@Simeji_jp の日本語がひどい件

日本語入力システム Simeji(公式アカウント:@)について、Social IME 連携によって「変換候補に自分のアカウント名が出る」という問題が報告され、プチ炎上していたもよう。

それに関して、@から次のようなアナウンスがあった。

三人に向けたものとはいえ、公開された場所に出している以上は公式アナウンスとしての性格があると見ていいだろう*1

(ところで、ブラウザによってこの PDF が開けないこともあるようなので、その場合はほかのブラウザで試してみることをおすすめする)

この文書について、純粋に「日本語」という側面から論評してみる。

Simeji の中の人を非難する目的ではありません。

そう思った人がいたら、最後まで読んでほしい。

この文章は、trankie00さん、tomossanさん、micr0chanさんに対して書いています。Twitterで140文字づつ書くと、一部だけをRTされるので、あえて、このような形でまとめさせて頂きました。

  • 「づつ」: 現代仮名遣いでの本則は「ずつ」。「づつ」は許容表記だが、本則で書くのが無難。
  • 「一部だけRTされるので」: そうなる可能性は高いが、あくまで予測。「だけ」「ので」は口語的。→「一部のみ RT されるおそれがあるため」。
  • 「あえて、」: 「、」は不要。
  • 「させて頂きました」: 相手に許可を求めていないときの「させて頂く」を目障り・耳障りと感じる人がいる*2ため、文書全体での使用回数を減らすことを考える。また、この「頂きます」は補助用言なので、「〜してもらう」との統一性を考えて「いただきます」とすることも考慮する。

まず、事の経緯からまとめさせて頂きます。私は「Simeji」「しめじ」「シメジ」のキーワードをMAC夜フクロウと言うTwitterクライアントでリアルタイム検索しています。今回は、

  • 「させて頂きます。」: 同上。
  • MAC」: "Mac"。OS を指していると思われるため、"Mac OS X" としたほうがよい。
  • 「のキーワード」: 「というキーワード」と明確に。
  • 「と言う」: この場合は「言う」の意味がないので「という」と仮名書きに。

が、多数RTされたことに気づき、TLを見始めました。そこで、

  • 「TLを見始めました」: 意味が不明確。「関係者のツイートをたどりました」とするところか。

このTweetに反応しました。にも関わらず

  • 「反応しました」: 「このようにお返事しました」。
  • 「にも関わらず」: 「それにもかかわらず、」。

このTweetが来たので、たまらず、このような口調でRTしました。

  • 「このTweetが来たので」: 「このような Tweet をいただいたため」。
  • 「RTしました」: 「非公式 RT しました」。

再度、質問が来たので、SocialIMEがどういうものであるかをわかってもらうために、ググるようにお願いしました。その後は、SocialIMEとSimejiの関係の説明とBaiduの立場の話を2人で続けました。(ログは残っているので、この部分は割愛します)

  • 「質問が来たので」: 「ご質問をいただいたので」*3
  • 「SocialIME」: 「Social IME」。以下同じ。
  • 「どういうもの」: 「どのようなもの」。
  • 「わかってもらうために」: 「ご理解いただけるよう」。
  • ググるようにお願いしました」: 「ググる」は口語的な表現。また、それ以前に特定のサービスの利用を公式アカウントで勧めるというのはどうなのか。さらに、「グーグル」という固有名詞を一般動詞として使うことも、公式な立場としては問題がある。「ご検索いただくことをお願いしました」(「いただくよう」を使いたいところだが、前の「よう」と重なるため回避)。
  • 「。(〜)」: 文脈にもよるが、この場合は文に含めて「(〜)。」とするのがよいのでは。

次に、Simejiキーワード検索でコレが来ました。

  • 「Simejiキーワード検索」: 「"Simeji" というキーワードによる検索」。
  • 「コレが来ました」: 「次のような Tweet を見つけました」。

本人は、私にTweetしてるわけではないので、なぜ、非公式RTされたのかわからなかったと思いますが、私も、なんで、「〆るか」と、言われなければならないのかわからなかったので、後で、絡むためのメモとしてRTしました。

  • 「本人」: 「この方」。
  • 「私に Tweet してる」: 「私宛てにメンションを送られた」。
  • 「なぜ、」: 「、」は不要。
  • 「なんで、」: 「なぜ」「どうして」など。
  • 「と、」: 同上。
  • 「後で、」: 同上。
  • 「絡む」: 口語的な使い方。人によっては否定的な意味でとる。「連絡を差し上げる」。

このTweetで、あれ、この人、実害を被ってる人なんだと気付き、再度、TLをさかのぼり、見落としがないかを探り始めました。(既に、炎上していたので、それにかなり時間がかかりました。)

  • 「あれ、この人、実害を被ってる人なんだと気付き」: 口語的。
  • 「再度、」: 「、」は不要。
  • 「。(〜)」: 「(〜)。」
  • 「既に、」: 「、」は不要。和語の副詞なので仮名書きも考慮。

結局、一番最初の

  • 「一番最初の」: 「最初の」。

コレだったんだと気づき、その時初めて、ご本人様だったと気づきました。

  • 「コレだったんだと気づき」: 口語的。
  • 「だったと」: 「であったということに」。
  • 「気づきました」: 重複を避ける。

時系列的には、SocialIMEを止める件について、他の人とTwieetしていたので、無視されていると感じたのだとは思いますが、一区切り着いたら、被害者であるtomossanと同様に、返事をするつもりでした。

  • 「ついて、」: 「、」は不要。
  • 「Twieet」: 「Tweet」。
  • 「他の人とTwieetしていた」: 主語が不明確。「私が」。
  • 「ので」: 「ため」。
  • 「無視されていると感じた」: 主語が不明確。「@trankie00 様が」。
  • 「感じた」: 「感じられた」「お感じになった」「という印象を持たれた」など。
  • 「一区切り着いたら」: 「ついたら/付いたら」。
  • 「被害者である」: @trankie00 さんも被害者。「別の被害者である」。
  • 「tomossan」: 「tomossan 様」。
  • 「返事をする」: 「お返事を差し上げる」。

と言うところまでが、お三人に関する流れです。

  • 「と言うところまでが」: 「ここまでが」。
  • 「お三人」: 「お三方」。

まず、お三人に対する認識ですが、今日はじめて、SocialIMEの中のアカウントが載ってることで、被害にあっているということを知りました。trankie00さんとは以前、絡ませて頂いたので、知ってはいましたが、私の認識では、自分で登録していたのだろうと思っていました。ですので、あの時「ご本人様」と表現しました。

  • 「お三人」: 同上。
  • 「の中の」: 「の変換候補に」
  • 「載ってることで、」: 「載っていることによって」。
  • 「被害にあっている」: 「被害に遭われている」。
  • 「trankie00さんとは」: 以降、三人に対して述べるので、それぞれ一段落に。
  • 「絡ませて頂いたので」: 上で書いたように、「お話をする機会があったため」。
  • 「知ってはいましたが」: 「存じ上げていましたが」*4
  • 「自分で」: 「ご自分で」
  • 「登録していた」: 「登録なさった」
  • 「ですので」: 「そのため」

tomossanさんに関しては、今日はじめて、何らかの変換で出てくる人だとわかりましたが、私は、それが何かはわからないです。micr0chanさんに関しても、今日、初めて食って掛かってるのを見て、被害者であることを知りました。

  • 「はじめて」: 「初めて」との表記統一。
  • 「変換で出てくる人」: 「変換候補にアカウントが記載されている方」。
  • 「それが何かは」: 意味が不明確。「どのような変換によるものかは」。
  • 「わからないです」: 「ないです」は口語的。「わかりません」としても明確さに欠ける。「調べが及んでおりません」。
  • 「micr0chanさん」: ここも別段落に。
  • 「関しても、今日、初めて」: 読点がすわりが悪い。構成を見直す必要がある。また、「初めて」がくどい。
  • 「食って掛かってる」: 「食ってかかる」は印象が悪い。特に形容せず、「Tweet を拝見し」でよい。また、「い抜き言葉」でもあるため、書くとしても「食ってかかっている」。

もともと、micr0chanさんへの助け舟のつもりでしたが、tomossanさんの「公式で禁止して下さい。迷惑です」で、私の方もカチンと来て、あのような言葉遣いなりました。大変、大人げない言葉遣いだったと反省しております。申し訳ございませんでした。その後は、冷静さを取り戻し、ちゃんと対応させて頂きましたので、お許し下さい。

  • 「で、」: 「という発言によって」。
  • 「カチンと来て」: 口語的。あえて使うのもありか。
  • 「言葉遣いなりました」: 「言葉遣いとなりました」。
  • 「ちゃんと」: 口語的。「きちんと」「しっかりと」「真摯に」など。
  • 「ので、お許し下さい」: 不要では。

trankie00さんについましては、他の方への返答が気に入らなかったのかとは思いますが、先にも述べましたように被害者であることを認識しておりませんでしたので、そのやり取りが不愉快極まりなかったことと思います。この場を借りて、謝罪いたします。申し訳ございませんでした。

  • 「ついましては」: 「つきましては」。
  • 「気に入らなかった」: 「お気に召さなかった」。
  • 「ように」: 「ように、」

さて、今後のSimejiとしての取り組みですが、Tweetしている部分もあるとは思いますが、再度、ここで書かせて頂きます。

  • 「が、」: 重複。くどい。
  • 「Tweetしている部分」: 意味が不明確。「すでに」を補う。
  • 「再度、」: 「、」は不要。
  • 「書かせて頂きます」: 上で述べた通り。

まず、SocialIMEとSimejiは利用はさせていただいておりますが、全く関係ございません。現在(2つ前のバージョンから)は、デフォルトでSocialIMEが使えないような設定になっており、SocialIMEを使うためのチェックを入れると下記のような注意が出るようになっております。今回の被害の件とは別に、Simejiが管理できていない外部の変換機能を使うことに対し、Simejiの使用許諾以外に、SocialIMEの利用許諾も確認してもらうようにはなっております。(まあ、普通の人は見ないと思いますが)

  • 「SocialIMEとSimejiは利用はさせていただいておりますが」: 意味不明。「Simeji から Social IME を利用させていただいているとはいえ」*5
  • 「確認してもらう」: 「ご確認いただく」。
  • 「。()」: ここも「()。」のほうがよいのでは。

ここにもあるように、管理できない所にデータを送る事自体、私としては危険極まりない事だと思っています。ですので、やっとのことで、SimejiからSocialIMEの危険性を発信できるようになり、まずは、一歩進んだと思っていました。

  • 「送る事」: 形式名詞は仮名書きに。「送ること」。以下同じ。
  • 「まずは、」: 「、」は不要。

よく、「Simejiは中国企業に買収されたから危ない」とか言う人がいますが、日本人で変換サーバーが管理されているだけ、SocailIMEの管理されていない状態よりよっぽどマシだと思っています。サーバーも日本にあり、データは中国には行かないです。

  • 「よく、」: 「、」は不要。
  • 「とか言う人がいますが」: 「とか」は口語的。敬語で、「のようにおっしゃる方がいらっしゃいますが」。
  • 「日本人で」: 「日本人によって」。
  • 「行かないです」: 「〜ないです」は口語的。だが、「行きません」とするより、意味を明確化して「送信されることはありません」。

と言う事により、元々、私はSimejiにSocialIMEは不必要であるという立場を会社の中では強く主張しています。ただ、今回のように、まさか、SocialIMEの辞書に登録されているアカウントで迷惑を被っている人が居るとは知りませんでした。

  • 「と言う事により」: 「このような事情で」。
  • 「元々、私は」: 「私は以前より」。
  • 「まさか、」: 「、」は不要。
  • 「SocialIMEの辞書に登録されているアカウントで」: 「Social IME の辞書にアカウントが登録されていることによって」。
  • 「人が居る」: 「方がいらっしゃる」。

言い訳になりますが、一サラリーマンの立場の発言としては「SimejiはSocailIMEと関係ありません。関係している人が直接SocailIMEの作者に文句を言って下さい」的な発言しかできなかったです。言い回し及び、言い方は悪かったことは反省しております。

  • 「一サラリーマンの立場の発言としては」: 「一従業員としての立場からは」。
  • 「関係している人が」: 文脈から見て「被害を受けられた方が」か。
  • 「文句を言って下さい」: 「クレームを伝えてください」。
  • 「的な」: 「というような」。
  • 「できなかったです」: 「できませんでした」。
  • 「言い回し及び、言い方」: 「、」は不要。

仮に、SimejiでSocialIMEを使えなくしたとしても、かなりの数の人達がSocailIMEを使うことになります。正確な数字は言えませんが、Simejiのユーザー数は300万人~500万人です。一方、SocailIMEを使えるようにプリインストールされている携帯電話は1000万台以上あります。ですので、SimejiがSocailIMEを使わなくなっても、このようなリテラシーの低い行いが減るとは思いません。また、先にも述べたように、ユーザーの個人情報を守るためにはSimejiはSocailIMEは使うべきではないと思っています。ですので、今回の件で私が首にならない限りは、SimejiがSocailIMEを使えなくするように社内を説得していくつもりです。

  • 「使うことになります」: 「使用し続けるという現状に変わりはありません」。
  • 「言えませんが」: 「お伝えできませんが」。
  • 「SocailIMEを使えるようにプリインストールされている」: 使えないようにプリインストールされているものがあるのだろうか。「Socail IME がプリインストールされている」。
  • 「このようなリテラシーの低い行いが減るとは思いません」: 「このようなリテラシーの低い行為は継続することと思われます」。
  • 「SimejiがSocailIMEを使えなくするように」: 「Simeji から Social IME を利用する機能を削除するように」

会社の立場としては、やはり、会社とは関係のないサーバー管理者を探し、アカウントを削除してもらうことは難しいと思いますが、今回の件で少なからずSimejiのせいで不愉快な思いをされていることがわかりましたので、私個人でSocailIMEの管理者を探し出し、対策をしてもらえるように折衝したいと思います。

  • 「やはり、」: 不要。
  • 「会社とは」: 「会社と」。
  • 「アカウントを削除してもらう」: 「変換候補にあるアカウント情報を削除していただく」。
  • 「少なからず」: 後ろに移動。
  • 「不愉快な思いをされている」: 主語が不明。「不愉快な思いをされている方がいらっしゃる」

今回の件は、間違いなくSimejiのユーザーであることは確かなので、少なくとも私の対応は適切ではなかったと反省しております。再度、お詫び申し上げます。

  • 「間違いなくSimejiのユーザーであることは確か」: 文意が不明確。「Simeji ユーザーの方が関わる問題であったことは確か」など。

文面では納得がいかない部分がございましたら、ご連絡を頂ければご納得の行く対応をさせて頂きたいと思いますので、宜しくお願い致します。

  • 「文面では」: 意味が不明確。「この文書につきまして」?
  • 「納得がいかない」: 口語的。「ご納得いただけない」?

問題点はだいたい以上の通り。

書き換え後の文書を載せることは、差し障りがあるかもしれないので控える。


繰り返すと、

Simeji の中の人を非難する目的ではありません。

各個人が持っているスキルセットはそれぞれ違うので、「しっかりした文章を書く」というスキルを持っていない人がいても、それ自身が問題ということはない。

ただ、そういう人が書いた文章が、フィルターなしに「外に出る」ということが問題だ。

外に出す文書としては、この日本語は間違いなくひどい。


日本語にかかわる会社においてさえ、「しっかりした文章を書く」ということがひとつのスキルであるという認識がない、または誰にでもできることだと思われているとしたら、それは残念なことだ。

そのことによって、丁寧さだけでなく、意味の明確さまでところどころで損なわれている。

「対外的な文書を書くスキルを持った人がいて、そうでない人が書いたものをチェックする」という体制を維持する余裕がない、またはその必要がないと思われているということだろうか。


ぼくも校正の訓練を受けたわけではないが、ネットでは本職の人を見る機会が少ないので、「鳥なき里のコウモリ」として書いてみた。

Simeji のことは応援しているので、日本語チェック体制の改善がされればと願っている。

*1:純粋に三人にのみ宛てたものであれば、非公開で伝える方法はいくらでもあるはず。というか、この文書の性格が曖昧であることも問題のひとつ。

*2:個人的にはそこまで目くじらを立てる必要はないと思うが、一般的な受け取られ方として。

*3:この「いただく」は本動詞なので漢字書きという選択肢もあるが、ここでは仮名書きにしておく。

*4:堅すぎるかな?

*5:「させていただく」をどこまで避けるかという問題はあるが、ここでは残した。