愚痴

先週の木・金あたりは少し凹んでいた。

前回書いたように、やっと可変次数CRF論文の英訳が半分終わったので、先行研究(http://books.nips.cc/papers/files/nips22/NIPS2009_0300.pdf)の人にメールを送ってみた。

しかし、ろくに読んでいないようなそっけない返事。

まあ、どこの馬の骨とも知れない人間が変な論文を送ってきたからといって、真剣に読んでいたら時間がいくらあっても足りないのかもしれない。

でも凹んだ。

CRF で高次の素性を利用するという、自分と同じことに興味がある人だから、きっと興味を持ってくれるんじゃないか、彼が興味を持ってくれなかったら世界中で興味を持ってくれる人なんていないんじゃないか、と思っていたから。


今回、この論文を書くのはボランティアのつもりだった。
もし誰かの役に立てたらいいなと。

最初は、論文がうまくいったらそれによって名声が上がって、将来転職するときに楽になったりするんじゃないか…といった下心もあったけど。考えてみると、自分はこれまでそういう不純な動機で行動して幸せになった試しがない。

仕事を辞めて自然言語処理修士課程に入ろうと思ったとき、京大の黒橋研と NAIST の松本研で迷って 2ch で相談したら「黒橋研と松本研、難しい。京大とNAIST、簡単。」と言われて、なるほど一理あると思って選んだらこんな感じだったし。

今の会社を受けるときも、ここに入れたら将来転職したくなったときにハクがつくかも…という考えが頭をよぎったが、その後入ったら不幸になった(会社が悪いわけではなく、どうしようもない文化的な相性などだと思うが)し。

それで、今回はボランティアのつもりでいくことにしていた。そのほうがうまくいくかと思って。

でも、「ボランティアのつもり」というのは結局、精神的な見返りをどこかで期待していたということで。毎日 1時間ほどとはいえ、もし論文を書いていなかったら自分の勉強ができたのに…という気持ちもあった。そこに、先行研究の人からそっけない返事をもらって凹んでしまったという。


やっぱり、「自分が面白いと思えるかどうか」だけを基準に行動して、誰かを恨んだりしないようにしないとダメだな、と実感。

それで検討し直したところ、面白いと思っていることに違いはないので、今後もぼちぼち続けていこうと思っている。


でも、誰か、この話ができる人がいればいいなという気持ちがある。

このアイデアについて、誰かに話して、それで理解してもらえたという経験がないので。いいならいい、ダメならダメでいいけど、とりあえずは誰かに理解してほしい。

でも、今回の論文はちょっと複雑だというのは自分でも思う。もし自分がこれをやっていなくて、他人からこれを読んでほしいと言われる立場だったら、読む気にならないかもしれない。


わかりやすい解説でも書ければいいんだけど…。

論文を書くなら、あるべき姿を追求していけばいい。しかし、「わかりやすい」解説を書こうとすると、どうすればいいかわからない。

直接説明するなら、最初の段階で A と A' という説明の仕方があるとしたら、A で説明してみて、だめなら A' で言う、とオンラインで修正していける。

しかし、聞く人がいないと、A? それとも A'? それとも、どちらでもなくて A''? と迷い、その次に続けるものも同じように B, B', B''... と選択肢があり、NP完全になってしまう。

問題のサイズが小さければ、それでも解ける(前の 可変次数 N-gram デコードのアルゴリズムのエントリのように)。しかし、今回の問題はちょっとそれには複雑だ。


どうすればいいんだろうなぁ。